前回のお話で昔と今の考えの違いや、屋根瓦の施工方法の違いのお話を
少しさせていただきましたが、その続きのお話を少々。
昔のお家は、相当手間ひまかかって建てられています。
屋根瓦の土葺きや、茅葺き屋根などもそうです。
地震のたびに瓦屋根が落ちていたりすると、お金がかかってしょうがないと思いに
なるかと思います。
当然交通網も発達しておらず、材料や職人さんの調達もままならない時代です。どのように修繕や修復を行っていたのでしょうか。
昔の住宅の建設は今でいう「公共事業」のようなものと聞きました。
「普請(ふしん)」といいます。
普請には地元の職人さん以外にも地域の住民が参加し無償で自分の労力や資金を提供する考えや思想がそこにはありました。
地域扶助の精神「結(ゆい)」といいます。
「結」の対義語には「やとう(家問う)」があり今の「雇う」の意味になっているようです。
「結」の考え方は広く存在するらしく、
沖縄では「ゆいまーる」と呼ばれます。
ゆいは同じ地域扶助の意味で、まーるは回るという意味だそうです。
つまり、順番に平等に助け合いましょうということです。
その他、戦時に日本が統治した朝鮮半島や台湾インドネシアにも同じような仕組みが
持ち込まれたそうです。
時代は移り変わり、結から隣組、町内会や自治会に変化しながら引き継がれたようです。
令和になり、高齢社会。
高齢者の孤独死や、引きこもりからの社会生活の分断。
テレワークやITによる働き方の多様化や、コロナ過でのマスク生活。
はたまた、都会を離れ田舎へ来た移住者への村八分のニュース。
昔とは、明らかに違う生活様式や数々のストレスを抱える現代人にとって
「結」の精神を現代に合わせたやり方で取り込み少しでも良い社会を作っていく
ように考えていかなければなりませんね。
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